不祥事から5年。お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建が、“グルメ”としての仕事を公開した。今月7日、都内で主宰する「アンジャッシュ渡部の食いしんぼ広場」の「100人オフ会」を開催。取材対応では自粛期間の日々を振り返り、「もう、こういう会はできないと思っていました」と実感を込めた。
オフ会の会場となった東京・新宿の寿司店「有楽町かきだ」。全国から集まったのは約130人。30代から40代が多く、やや男性が多い印象。女性1人の参加者も目についた。「有楽町かきだ」は、ビルのワンフロアを占め、100人以上を収容する。高級鮨が食べ放題、ドリンクやデザートがおかわり自由というオールインクルーシブ・スタイルがSNSで大バズリしている人気店だ。広い店内は、寿司、焼肉、バーと3か所に分かれ、各ブースにはカウンターが設けられている。それぞれが好きな場所で食事を楽しんでいる中、渡部は「130人全員との交流を持ちたい」と、1回につき約40人の会員をバーカウンターに迎える対応を3回行った。
「自粛前には、“予約難の高級店を巡る”というコミュニティーを運営していたのですが、自粛に入ってすぐに解散しました」渡部は2020年6月に発覚した不祥事で、世間から猛バッシングを受けた。仕事は瞬く間になくなり、自粛期間に入った。半年後には記者会見をし、「最低な行為」と反省を口にしたが、仕事は戻ってこなかった。そして、22年2月5日、芸能活動の再開を発表。と同時にグルメコミュニティー「アンジャッシュ渡部の食いしんぼ広場」を立ち上げた。
会員は、現在約700人。地元の名店を紹介し合ったり、話題の新店を訪れるなど、美食の交流を行っている。渡部は現在、SNSなどでのグルメ情報発信していないが、食べ歩きは続けているという。そして、「ネットでおいしい店を探せる時代ではない。グルメ評価サイトでの点数が高ければおいしいのか、不特定多数の人が書いている口コミは信用に足るものか、判断が難しい」と思っていることを明かした。
「おいしいカレーを神保町で食べようと思ったらネットで調べず、カレー好きに聞く。一番精度が高い情報です。この輪をもっと広げられないかなと思って始めたんですよ。自粛中は、『もう、こういう会は2度とできないだろう』と諦めていました。今日、公開の場でこんな会が実現できてとにかく感慨深いです。僕は今もメディアに出ることを制限されていますので、バーンと告知もできないですから、じわじわ700人を超えるところまで会員が集まり感激もひとしおです。口コミだけで、これだけ人数が集まった、ありがたい限りですね」
自粛明けからオフ会を毎月1回開催していたが、店に入れるのは多くて20人。しかし、何百人からもの応募が来るようになり、オフ会は抽選に。「最近、なかなか当たらない」という苦情も出るようになったという。
「応募した人全員参加できるようにしよう、と企画したのが今回のオフ会なんです。会員の皆さんから『1回大きな会をやりましょう』と提案もいただいたものの、100人収容できる店がない。別の企画でこの店の経営者である蛎田一博さんと知り合い、『100人の宴会もできますよ』と聞いてようやく実現しました」
有志の会員からは「ボランティアとして手伝いたい」との声も届き満を持しての開催。渡部にとって記念すべき日となった。一方で、自粛中の辛い日々も頭によぎる。どのように乗り越えたのか、振り返って渡部は言った。
「自粛に入った時は『二度と仕事に復帰できない。妻には離婚される』と覚悟していました。仕事がなくなり、どん底でよぎったのは、不祥事以前は、スタッフへの態度も悪かったし、『全力で仕事に取り組んでいなかった』という思いです。猛省する毎日でした。妻は、『怒りはあったけど、その感情を抱いていたら自分のことを嫌いになりそうだ』と言ってくれて、家族としての関係を再構築していく意志を感じたのが救いでした。『家族で一から頑張っていこう』と復帰したい気持ちにも賛成してくれました。子どもには、『お父さん1回失敗したけど、逃げずにチャレンジした』と言えるようなりたい。家族みんなで騒動を乗り越えようという気持ちがありました」
スキャンダル発覚直後には、妻の佐々木希が、「主人の無自覚な行動により多くの方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ございません」と謝罪した。収入がほぼ“ゼロ”まで落ちた渡部に代わり、家計を支えるため、バラエティー番組にも積極的に出演。渡部を精神的、経済的に支えてきた。そして、渡部は第三者からも支えを受けていた。