テレビ朝日も、社員の不正を朝の情報番組で報じた。
テロップには『テレビ朝日社員 経理不正やパワハラ』とある。バラエティー番組担当の社員が、個人的な会食費約517万円を会社に請求したほか、番組スタッフに対するパワハラ発言で降格されたという。
他局のプロデューサーは、「バラエティー番組を任せられるということは、その予算規模を考えると、中小企業の経営を任せられるようなもの。不正をやろうとしたら、どうにでもできますが、今は慎重になっていますよ、みんな。領収書には誰と会食したか記入しますし、疑われれば会食相手にも調査が入る。〝〇月〇日にうちの人間と食事をしていますか〟と聞かれ、ウソだとばれたらアウト。金に関しては、徹底的に身ぎれいにしておかないとまずいのが今という時代です」と声をひそめる。
パワハラ発言に関しても、したら即刻アウトの覚悟が必要だと付け加える。
「委託スタッフは、気に入らない社員と話す際はほぼスマホで会話内容を録音しています。では、スマホはいじってないなと安心していても、Appleウォッチで録音されていますからね。とにかくすべての会話は録音されていると思って、現場スタッフとは接していますよ」
社員に契約社員、局の契約スタッフに番組制作会社の社員に契約社員、フリーランススタッフなど待遇がまったく違う人間が寄せ集められているのが、テレビ番組の制作現場だ。同じ仕事をしながらも、ギャラ待遇は明らかに違う。
「賃上げ? あるわけないでしょう。テレビ局には、番組制作会社に対し〇%賃上げをすること、と条件を突き付けてほしいです」と冷ややかに語る番組制作スタッフは、テレビ朝日の問題、ひいては生島ヒロシ降板問題でのラジオ局の対応について「怖い」と本音を吐露する。
「だってそうでしょう。番組スタッフが素直に、パワハラを訴えたわけです、テレビ朝日もTBSラジオも。その結果、どうなりました? テレビ朝日は番組の打ち切りを同時に発表し、TBSラジオも3月いっぱいで番組終了を決めたでしょう。番組スタッフは、番組終了したら契約を継続しないという文言の入った契約書を制作会社と結んでいます。後番組は必ずありますが、そこにスタッフとして職を得られるかどうかはまったく分からないのですよ」
テレビ朝日の不正社員は、降格はしたがテレビ局社員という身分はそのままだ。一方で外部の番組スタッフは路頭に迷う。番組打ち切りを決めたテレビ朝日に「怖い」と吐露する前出・番組制作スタッフの気持ちは、テレビ局幹部に伝わるだろうか。(業界ウオッチャーX)