妻、母、そして〝女〟の顔…全部さらけ出した北川景子の演技に注目、激動人生描いた「花のれん」

ドラマ、映画、アニメ好き。「三度の飯より…」とは言い切れない食いしん坊・音みかんが個人の趣味に〝全フリ〟したチョイスで昔の名作から最新作までエンタメ作品を語ります。

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8日に放送されたテレビ朝日ドラマプレミアム「花のれん」。シミ・シワ姿も厭わず加齢メイクで21歳から晩年まで演じ切った主演・北川景子が見た目だけじゃないライフステージごとに魅せた様々な〝顔〟に注目した。

明治~昭和という激動の時代、〝女性プロデューサー〟の先駆けとして道を切り拓いた稀代の女性興行師・河島多加(北川景子)の生涯を描く物語…なのだが、ヒロインがこの世界に入るキッカケがまさか怠け者夫のおかげ? せい?だったのには、冒頭から驚かされた。

花街、寄席通いで遊び惚ける夫・吉三郎(伊藤英明)のせいで家業の呉服店の経営は傾き、借金で窮地に立たされるにも関わらず健気に支える多加は「いっそ、道楽を本業に」と吉三郎に提案。それで夫婦で寄席商売をはじめることになるのだが、この「ピンチもチャンス」に変えてしまう逞しく強かな女性を北川が華やかに演じて、その後の展開にワクワクと期待をさせられた。

場末の寄席小屋を買い、事業のアイデアも出し「夫は何もしていないのでは?」と思わせる多加の働きっぷりに感嘆していた矢先、まさかの吉三郎に愛人発覚。「おいおい!働けよ!」とツッコミを入れてる内に、吉三郎は愛人・おしの(渋谷凪咲)と逢い引き中に心臓麻痺で死んでしまうのだった…。感情が追い付かない怒涛の展開に筆者も驚いてる所で、北川景子第1の「妻の顔」を披露する。

 愛人宅で夫の亡骸を前に気丈に振る舞う多加なのだが、玄関で草履を手にした刹那、おしのの顔を叩いてしまう。最初は下駄と勘違いした筆者は「死ぬのでは…」とビビる程の凄まじさ。自分自身も戸惑っているような〝嫉妬〟に駆られた狂気を見事に表現し、「いい奥さん」以外の内に秘めた顔を見せた。

次に印象的だったのは第2の「母の顔」だ。吉三郎亡き後、〝なりふり構わず〟仕事に没頭する多加なのだが「お正月くらい一緒にいてほしかった」と幼い息子にせがまれ、涙をこらえながらカルタをする演技は真に迫っていてリアリティを感じた。我が子を想う母の表情が、実生活でも2児の母である北川の日常とオーバーラップするようで本当にいいシーンだったと思う。

最後は、夫の葬儀で「一生二夫にまみえぬ証」として白い喪服をまとった多加が晩年に淡い恋心を抱く第3の「女の顔」。窮地を救ってくれた伊藤友衛(上川隆也)に胸がときめく過程が丁寧に描かれ、こちらまでキュンキュンしてしまったのだが、結局は商いを優先させる多加…。上川隆也のダンディぶりに、筆者は思わず「もったいない!」と思ってしまったのだが、通天閣まで建てる偉業を成し遂げる姿に「さすが」と感服するのだった。

だが、伊藤の死に直面した多加は、取り乱しムダ金のような大金を使ってしまう。「これはわての一生にたった一回の贅沢や」と泣きじゃくりながら言い放つ駄々っ子のような表情からは、何歳になっても心の奥底に眠る〝少女の顔〟が覗き見えた気がした。

「激動の時代を生きた女性の生涯を描く」という触れ込み通り、いや、ありすぎるほどの〝激動っぷり〟であったが北川景子演じるヒロインが生き生きと奮闘する姿に勇気をもらった。人生はつづく…今の時代を頑張って生きなければとエールをもらい、今回も「ごちそう様でした」。

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