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巨匠・江口寿史のトレパク問題、編集者も黙認か…「大御所への忖度」が生んだ業界の闇

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日本のコミック界に衝撃が走った。巨匠・江口寿史が無許可で他者の写真をトレースし、商業広告に使用していた問題が浮上したのだ。1980年代に「ストップひり君」を大ヒットさせた江口氏は、独自のスタイルで日本のイラストレーション界に革命をもたらしたクリエイターとして知られている。しかし、その名声が今、暗雲に覆われている。

問題の発端は、中央線文化祭で発表された作品にあり、描かれた少女の横顔が他の女性の写真と酷似していると指摘された。モデルとなった女性が名乗り出たことで事態は急展開。江口氏は事後承諾の形を取るも、これがさらなる混乱を招いた。使用中止が決定された作品に加え、過去の広告にも疑惑が波及し、各社は事実確認に追われている。

トレース技法自体は一概に悪とされるものではないが、江口氏の場合は無許可の写真を商業目的で使用した点が問題視されている。業界内では「大御所だから指摘しづらい」という声もあり、編集者たちの忖度が長年にわたり問題を見過ごしてきた可能性が指摘されている。

この騒動は、クリエイターの倫理感が厳しく問われる現代において、過去の慣習が通用しない厳しい現実を浮き彫りにしている。江口氏の名声が逆に彼を守る盾となっていたのかもしれない。ファンや業界関係者に衝撃を与えたこの事件は、今後の日本のクリエイティブ業界に大きな影響を及ぼすことが予想される。